
Introduction
共栄製茶について
1836年創業の宇治「森半」ブランドを展開する老舗茶メーカー。国内有数の抹茶供給力で、抹茶を中心に緑茶・紅茶・コーヒーまで製造販売する。 水出し緑茶の元祖といわれる「氷茶」や関西の「グリーンティー」が根強い人気を誇る。また、宇治に体験型施設「TEA SQUARE MORIHAN」を展開し、お茶を文化として伝える取り組みも進めている。



feature article
お施主様の声
抹茶需要の最前線を支える新拠点
世界中の抹茶ブームで、抹茶市場は急激に成長しています。全国茶生産団体連合会の調査によると、抹茶の原料となる「てん茶」の生産量は令和5年度に4,176トンと過去最高を記録。平均単価も近年上昇し続けています。
一方、供給は不足し始めていて、特に高品質な抹茶として有名な宇治抹茶の供給がひっ迫しています。背景にあるのは、茶園不足に加え、「てん茶」を一次加工する工場不足です。
そこで、共栄製茶株式会社は、京都府内で製造量No1の有機てん茶製造工場を目指すとし、京都・南山城村に新工場を開設しました。
専務取締役の菊岡 勝様、取締役の大塚 将弘様、そして建築計画を担当した株式会社ヨネダ 取締役の江畑様にお話を伺いました。

写真左:取締役 大塚様 写真右:専務取締役 菊岡様
“不足”を超えるために——森半の新工場
京都南山城工場は、周辺を茶畑に囲まれ、10キロ圏内から集めた原料で、年間100トン以上のてん茶製造能力を保有します。
こちらの工場に「yess建築」が採用されました。
工場内は、無柱に近い大空間構造で、2式の製造ラインを効率的に配置しています。また、工程ごとに4つの部屋へと分かれており、仕上げ室にはパネルを使用。連続面で隙間を減らし、清掃の容易性に繋げました。
外部影響を受けにくい構造にあわせて、入室時のエアシャワー、専用被服・ヘアキャップ着用を義務化し、動線や行動規範まで含め衛生基準を厳格運用することができています。

鑑定コーナー
建築プロジェクトを振り返っていかがでしょうか―
大塚様)「茶葉を蒸し、冷却し、乾燥……様々な工程を行う中で、広さも欲しいけれど、単に広いだけでなく、高さも必要でした。また、機械を稼働させると熱を持つので、ダクトのルート確保など、考えることは山積みでした。
ヨネダの江畑さんと、細かいところを調整しながら打ち合わせできたのが非常に良かったです。」
江畑様)「今思い返せば、最初は、ふわりとした中でのスタートでしたよね。敷地内のどこに建物を配置するか、機械レイアウトによる建物形状も決まってなかったですが、結果的に、現状の建物配置・建築計画へとご提案できてよかったです。」
大塚様)「私達にはわからない、色々な法規制を考慮し計画してくれました。限られた時間の中で、全力で対応してくれて非常に助かりました。」

写真左:yess建築ビルダー 株式会社ヨネダ 江畑 賢拓 様
南山城村から始まる、抹茶供給の未来
世界的な抹茶ブームを追い風に、森半の抹茶は国内外で広く採用され、原材料高騰の影響はあるものの、近年は過去最高水準の成長を続けています。
「お客様の要望に応えていたら、ここまで来ました」と振り返りながらも、視線は常にその先を見据えています。
「この工場は最終的に圃場と直結させたいですし、テクノセンターでは茶葉の殺菌やさらなるスペースの確保など、まだまだやりたいことはあります」——構想は尽きません。
工場を建てることは、地域の茶業を守ることにもつながります。高齢化や担い手不足が進む中で、持続可能なお茶づくりを支えています。
南山城村の新工場は、供給不足という課題に対し、生産能力だけでなく“仕組み”で応える——伝統と革新。その両立を支える新たな一歩が、南山城村から確かに動き出しています。

株式会社ヨネダ
取締役 神戸支店長 兼 名古屋支店長
江畑 賢拓 様
様々な業者が携わる工場建設だからこそ、全体最適を常に意識していました。完成した工場に夕日が差しているときには、計画から工事までの出来事が思い出され感動しました。ありがとうございました。
編集後記
工場内は、一歩足を踏み入れると茶葉の甘い香りに包まれていました。お施主様とビルダー様、双方の想いが詰まったこの場所から、世界中へ抹茶が届けられている——そう思うと、静かに胸が熱くなりました。