他社が追随できない「混載中継物流」という強み

物流業界ではトラックの積載率40％前後が平均と言われている中、大友ロジスティクスサービス（以下、大友LS）の拠点間便の積載率は約80％だといいます。この驚異的な効率の実現について松村社長は「複数の荷主の依頼を担う小口混載便と33拠点ある全国ネットワークです」と話します。大友LSは、顧客にとって改善が難しいとされる物流コストのさらなる低減（同時にCO₂削減）という領域で注目される存在となっています。松村社長はニッチな分野のトップを狙う「ニッチトップ戦略」を掲げ、同社は業績を拡大中です。

物流業界のいわゆる「2024年問題」。トラックドライバーの時間外労働の規制による輸送能力の低下の問題について、大友LSは2023年1月のTOKYO PRO Market上場時点ですでに解決済みだったと言います。2024年問題を解決する為には、中継輸送が必要不可欠であり、そのために一定の距離間で複数の中継拠点が必要となります。そういった観点から中継拠点を全国に有する大友ＬＳは、同業他社と比較し優位性があり、物流の2024年問題にしっかり対応出来る企業として高い評価を受けているようです。

今後伸びる企業を選別しソリューション提案

大友LSの営業戦略の特徴は徹底した企業研究です。今後伸びていく業界や企業について調査・分析を行います。一例ですが、半導体やリチウムイオン電池、産業ロボットなど需要拡大が見込める企業の2～3年先のニーズを考え選別した上で、ようやく営業をかけていきます。商談がまとまれば、そこから倉庫を建てる土地の確保に動くという流れが基本です。「理想は顧客の工場の門前に倉庫を構えて、両社にとって効率を追求できる物流ソシューションを提示すること」だと松村社長は話します。

土地については、対象エリアの自治体や地銀などからの話もありますが重要なのはスピードです。松村社長が現地に赴き、問題の有無を確認し、直ぐに社内検討を実施します。顧客の工場に近い大友LSの倉庫は、いわゆるジャストインタイムに対応することができる。つまり「納品代行」が可能となります。これが同社のもう1つの強みです。

使い勝手の良さから「yess建築」を10年以上連続採用

初めて横河システム建築の「yess建築」を採用したのは2011年の栃木県・真岡営業所です。ビルダーは地元の中村土建株式会社（栃木県）。これ以降、同社では営業所や倉庫の建築についてはその使い勝手の良さから「yess建築」を10年以上連続採用しています。

以前は建築設計会社の経営者であった松村社長。「倉庫建築については機能主義」だと言います。まずは中身から考え、倉庫内の各作業の最適値があるのでその寸法を踏まえ、導線やレイアウトを考える……この作業が“楽しい”と笑顔の松村社長。「倉庫建築は“ムダの無い芸術”だと思う。『yess建築』は使いやすい」といいます。

「性能の良い倉庫」が求められる時代に

今後はさらに「性能の良い倉庫」が求められるのではないかという松村社長。物流ではドライバー確保の問題がありますが、「倉庫作業員の奪い合い」が生まれることも見据えています。性能の良い倉庫、つまり働きやすい労働環境が人材確保の決め手になる……そういった意味から「柱の無い大空間を実現する『yess建築』は倉庫のレイアウト面でありがたく、作業性の向上や事故の低減などにつながり大友LSの倉庫と相性が良い」といいます。そして、人材確保のライバルは同業他社だけではなく、ＥＣ系や大手流通系といった他業界の企業が想定されるともコメント。常に次を見据えている視座の高さを感じました。