開閉屋根プロジェクト
「すばる望遠鏡
メインシャッター改修」

より永く観測運用いただくために
横河システム建築から
「改修」という名のエール

国立天文台 会議室にて

2018/6/23

会議室では観測運用約20年となる「すばる望遠鏡」の不具合について打合せが行われていた。
建物に駆動部が多数ある観測施設。20年ともなれば一般建築物のシャッターや設備でも老朽化によるガタが出てしまう時期である。
そしてこの施設に使用される構成部品は、当時世界一を目指して建設された特注部品の塊。交換部品も手に入らず、工事は標高4,200m近い高所で狭い空間の作業。かつ世界トップクラスの性能の望遠鏡は、日々観測が行われており容易に停止できないという条件。この難題に対し横河システム建築の技術者たちは大型特殊建築のノウハウと国家プロジェクト施設に対する熱き「魂」で打合せに臨んでいた・・・。

「改修工事」をダイジェスト化した説明動画(2019年10月制作)

横河システム建築では改修工事にあたって、打合せ時から工事完了までを写真や動画で作業の記録をしてきました。
改修内容の説明から工事の様子などが動画に纏められています。是非ご覧ください。

English version

すばる望遠鏡とは

すばる望遠鏡は、アメリカ・ハワイ島のマウナケア山頂にある国立天文台の望遠鏡である。
建物の大きさは高さ43m x 回転レール直径40m。その中に口径8.2mを誇る大型光学赤外線望遠鏡を備える。
主鏡は単一鏡としては世界最大級の口径であり、かつ他の大型望遠鏡に比べて圧倒的な視野の広さと高い解像力で観測できることが特徴である。
望遠鏡本体の性能はもとより、建物自体も風通しの良い新型ドーム形状によって空気の乱れを少なくして星像の乱れを抑える仕様となっている。
すばる望遠鏡は1999年の初観測から2019年で20年。2018年5月にはハワイ島で発生したM6.9の地震も体験してきた。

そして20年目にして望遠鏡を守るこの大型シャッターの開閉機構に不具合が出初めたのである。

メインシャッター改修工事

施設の建設開始は1991年。図面の管理も紙をメインとするアナログな時代。建設時の資料も現在では乏しい。
横河の技術者たちは現地計測からはじめ、開閉機構を3DCAD化する事で歪み等の現状を把握。
限られた時間の中で最優先・最小限の改修方法を決定する。

2019/6/20

現地作業を開始した。
日本で製作した資材を標高4,200mのマウナケア山頂のすばる望遠鏡まで荷揚げしての作業だ。 山頂の酸素量は地表の約70%。空気の薄い山頂での作業に体を慣らすために、事前に酸素吸入器の操作方法などを教わって作業を開始する。 そして山頂に連続で作業できる時間は最大で8時間。毎日約2時間もかけて山頂への登り・降りが必要なため、作業は効率・時間との勝負となる。

大型望遠鏡を備える大きな施設といえども、メインシャッターを改修するための作業スペースは大変に狭い。
メインシャッターのガイドローラーを交換するためには、場所によって人ひとりぶんの狭いスペースでの作業を強いられた。
鼻に付ける酸素吸入器の管もあって息苦しさの感覚は倍増する。
現場の技術者達は、新たな点検歩廊やラダーの設置によって改修作業や今後のメンテナンスを安全に行えるようにしたのちにメインとなる大型シャッターのガイドローラー交換に取り掛かっていた。
個々の資材が順に組みあがる。作業は計画した工程に則って粛々と進められていった。

2019/9/17

組立て作業・走行調整を経て引渡し検査の日を迎えた。
事前の確認でミリ単位の高い精度で走行を確認しているので施工の満足度は高いが、検査説明はやはり緊張を感じる。
このすばる望遠鏡が少しでも長い期間、観測が続けられていく事を祈るばかりだ。

マウナケア山頂で3ヶ月に渡る施工作業も終わりを向かえ、工事を終える事への満足感と共に既にこの地を離れる事への寂しさを感じていた。

すばる望遠鏡関連
2019年の出来事

  • すばる望遠鏡。観測開始から20年
  • 愛媛大など宇宙初期に大量の巨大ブラックホールを発見
  • 半年間のHSCによる観測で約1800個の超新星を発見
  • 国際チーム 最古の銀河集団を発見
  • 土星の衛星を新たに20天体「発見」
  • 天文学者の海部宣男氏逝去 すばる望遠鏡計画の責任者

横河システム建築は・・・・
宇宙(そら)のせかいを熱き想いで
研究される人々に魅了されて、
熱き技術者「魂」で応えました。
すばる望遠鏡のより永い運用と
益々のご活躍を応援しています!

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